F1 チームに帯同し、世界を転戦
Q:学生時代の専攻や、これまでの経験について教えてください。
高校入学時にPCを買ってもらい、趣味で触っていました。PC黎明期の話ですね。ゲームを作ったり、プログラムを組んだりして遊んでいました。大学は文系の学部でしたが、ものづくりの仕事がしたい、PCの分野ならそれができるだろうと考え、DXCのルーツにあたるITベンダーの日本法人に就職しました。
以来、さまざまな仕事をしてきましたが、私自身の興味はニッチなニーズに応えられる技術にあり、会社のメインストリームではなかったものの、特定のニーズにはとても重宝がられてきました。これを追求してきた結果、他の開発者とは少し異なるキャリアを重ねてきたのかなと思います。主に手がけていたのはWindowsのデスクトップアプリケーションで、当時は誰もやっていない領域でした。ちょうどその頃、自動車メーカーのお客様から声がかかり、F1のプロジェクトに参加して、走行中のマシンデータをピットからモニタリングするシステムの設計・開発を担当し、チームに帯同して世界各国を転戦するという貴重な経験もしました。
新しい技術に積極的に関与
Q:最近担当されたプロジェクトや、どのような時にやりがいを感じるか教えてください。
少し前に、次世代の地図データ管理システムのプロジェクトを担当しました。お客様の「最新のテクノロジーを使いたい」というオーダーに対し、私達もまだ使ったことのない技術を適用してみようということでスタートしたものです。私はシステムアーキテクトとしてシステムのコンセプトから設計までを手がけましたが、この時の経験を通して新しい技術について知見を深めたおかげで、今は新しい技術の方面で社内の先頭集団にいるのではと思っています。
また、私たちのグループではアジャイル開発という開発手法が主流になっています。アジャイル開発とは、お客様にまだ明確な要件はないものの、なんとなくやりたいことがあり、それに向ってどうすればいいのかということをお客様と話し合いながら、少しずつ作り、少しずつ方針を変更し、進めていくもの。毎日、仕事の中身が変わるのは楽しみなところがある半面、先が見えない怖さもあります。それがほどよい緊張感につながっているのかな、とも思っていますが。
自分と会社の方向性が合致している手応え
Q:DXCの魅力はどのようなところでしょうか。
DXC以前の環境では、会社の方向性と開発者としての自分のやりたいことは、必ずしも合っていなかったように思います。たとえば、以前は多くの案件でハードウェアを売ることが前提にありましたが、DXCは独立したITサービスベンダーなので、そのような前提がなくなり、純粋にお客様が求めるものを提供する方向に会社全体が向かっています。その意味で、今は私自身のやりたいことと会社の方向性が合致しているという手応えを感じています。
その一方、DXCはまだそれほど知名度のある会社ではないため、何らかの付加価値を提示できないと、お客様に評価していただくことは難しい。その付加価値のひとつにはやはり技術があると思います。これまで手がけてきたプロジェクトを通じて、新しい技術や開発手法について知見や知識を深める経験に恵まれたので、これを社内に継承する活動にも取り組んでいます。これからも新しい技術の水先案内人的なポジションで会社をリードしていく――それが自分の価値、役割だと考えています。