産業:

Manufacturing

場所:

フランクフルト、ドイツ

ドイツに本拠を置く、倉庫自動化の世界的リーダーであるKIONグループは、100か国以上の地域に6,000を超える倉庫システムを設置しています。また、KIONグループは世界第2位のフォークリフトメーカーとしての主力事業を基盤とし、包括的なサプライチェーンおよびロジスティクスソリューション/サービスを提供しています。

 

クラウドへの移行で運用をさらに効率化

急速に進化するロジスティクス、倉庫、製造の世界で成功するには、極めて効率的でスケーラブルなシステムが必要です。KIONグループは、ITインフラストラクチャを統合、最新化することで、運用コストを削減して競争力を高めるとともに、サービスを迅速にスケールアップしたいと考えており、その最善の方法がパブリッククラウドを活用することでした。

KIONグループでは、各部門が個別のデータセンターを運用していたため、自動化とITモダナイゼーションの取り組みが妨げられていました。より効率的な運用を実現する強固な基盤を構築するために、同グループはSAPを含むIT環境をデータセンターからMicrosoft Azureに移行することを決定しました。

「フォークリフトと倉庫は定期的なメンテナンスと整備が必要であり、これがKIONの基本的なビジネスモデルです」と、KIONグループのグローバルITインフラストラクチャサービス担当ヴァイスプレジデントであるHansjörg Heinrich氏は述べています。「従来のデータセンター環境から、大規模かつ最新のMicrosoft Azure環境へ移行した大きな目的は、今日のビジネスに必要なスピードを強化するためでした」

クラウドへの移行では、KIONグループが信頼を置くDXC Technologyがプロジェクトを主導しました。DXCはKIONグループとの長い歴史があり、高度な車両管理システムの開発など、12年以上にわたってITサポートとサービスを提供してきました。

Heinrich氏は、同グループのデジタルトランスフォーメーションを成功させるうえで、事前計画の策定が極めて重要だったと述べています。KIONグループ、DXC、Microsoftのテクノロジーの専門家達は、6ヵ月かけて同社のITインフラストラクチャとアプリケーションを調査し、最適な移行プロセス、コンピュート能力、ストレージ、セキュリティへのアプローチを決定しました。

「従来のデータセンター環境から、大規模かつ最新のMicrosoft Azure環境へ移行した大きな目的は、今日のビジネスに必要なスピードを強化するためでした」

Hansjörg Heinrich 氏 KIONグループ グローバルITインフラストラクチャサービス担当ヴァイスプレジデント

予定どおりに、予算内での実現

DXCはリフトアンドシフトアプローチを採用し、SAPを含むアプリケーションのワークロードを1週間当たり約25台のペースで正常に移行しました。DXC Platform as a Service for SAP on Azureでは、自動化とエンタープライズグレードの信頼性を持ってSAPの運用プロセスが簡素化されます。KIONグループは、コンピュート、ストレージ、仮想ネットワークインフラストラクチャの設計、展開、24時間365日体制のサポートと監視を提供する、DXC Managed Services for Microsoft Azureも活用しています。インフラストラクチャの基盤としては、DXCは運用の耐障害性をサポートするバックアップソリューションを提供しています。

「このような変革を行う際に、長く協力関係を築いてきたパートナーがいることの最大のメリットは、信頼性があるだけでなく、何よりも私たちについて真に深く理解してくれていることです」

Hansjörg Heinrich 氏 KIONグループ グローバルITインフラストラクチャサービス担当ヴァイスプレジデント

DXCは移行の管理に加えて、KIONグループのMicrosoftライセンス戦略も適切にサポートしました。DXCのワークプレイス資産管理チームはプログラムの適合性を判断し、ライセンスの複雑さを軽減しました。DXCのライセンス専門家が、契約に関するアドバイス、変更設定、パートナー登録、そしてベンダー関係管理にわたって、ソリューションが適切かつタイムリーに展開できるようサポートし、Azureの利用に対する継続的でシームレスな支払いの支援をしています。

多くのITモダナイゼーションの取り組みは、2020年に在宅勤務の導入が始まってから大きな課題に直面しましたが、KIONグループの移行は予定どおりに予算内で遂行されました。Heinrich氏は、KIONでのDXCの経験が重要な役割を果たしたと述べています。

「このような変革を行う際に、長く協力関係を築いてきたパートナーがいることの最大のメリットは、信頼性があるだけでなく、何よりも私たちについて真に深く理解してくれていることです。私たちのことを理解していない人たちとでは、そのような変革を行うことはほとんど不可能です」

 

ボリュームの拡張

KIONグループがMicrosoft Azureクラウドを選択した決定的な要因は、スピードとスケーラビリティの向上を実現できる潜在力であり、Heinrich氏はこれらの目標が達成されつつあると述べています。

「明日、CPUのコア数を3倍にするというスケーリングが必要となったら、12時間以内に実行可能です。これまでは通常、ハードウェアの調達、納品、設置、コミッショニングに最大12週間かかっていました。今ではスイッチを入れるだけのようなものです」

新たに獲得したスピードにより、KIONグループはコロナ禍においても極めて短期間でMicrosoft Office 365とMicrosoft Teamsの展開を完了し、22,000人の従業員の在宅勤務環境を整えました。

「一晩でボリュームを拡張することができ、最終的にはすべてがうまくいきました」とHeinrich氏は話します。

「未使用のリソースをシャットダウンするだけで、コスト削減分を価格優位性として顧客に還元し、私たちのビジネスモデルを改善できます」

Hansjörg Heinrich 氏 KIONグループ グローバルITインフラストラクチャサービス担当ヴァイスプレジデント

DXCのPlatform as a Service for SAPの従量制価格設定により、KIONグループは顧客に直接還元できるスピードメリットだけでなく、コストメリットも実現しています。たとえば、午前6時から午後6時までの12時間体制をとるような、日中にのみ稼働が必要な顧客ソリューションについては、夜間は不要なコストが発生しないようにシャットダウンできるためです。

「未使用のリソースをシャットダウンするだけで、コスト削減分を価格優位性として顧客に還元し、私たちのビジネスモデルを改善できます」とHeinrich氏は説明します。Heinrich氏はITインフラストラクチャのコスト削減率を約25%と見積もっています。

さらに、Azureクラウドに組み込まれたスクリプトにより、KIONグループの車両管理システムの展開は8週間から1日未満に短縮されました。

「これにはクラウドでのハードウェアの仮想環境構築と車両管理システムの構成など、すべてが含まれます」とHeinrich氏は言います。プログラムされたサイバネティッククラスターを利用すると、車両管理環境全体を一晩で構築できます。「新たなハードウェアは必要なく、レゴの建築キットのようにすべてが仮想的に構築されます」

KIONグループは真の変革には終わりがないことを理解しており、同グループはすでにDXCと連携してエンタープライズテクノロジースタックを活用し、フォークリフトのデータをデータレイクで収集する新しい分析プラットフォームなど、サービスを次のレベルに引き上げようとしています。

「私たちはちょうど最初の一歩を踏み出したところです。既製のツールボックスを備えたクラウドは、私たちをさらに一歩前進させてくれます」とHeinrich氏は話します。

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