スパイスの調合には、最先端の精密機器が必要です。しかし、この完璧さの探求は生産現場だけにとどまりません。創業から100年を超えるオーストラリアの大手食品原料販売会社は最近、事業運営におけるさまざまな業務の見直しを経て、デジタルイノベーションの成功に向けたソフトウェア変革に乗り出しました。
「Microsoft Dynamicsを選択した大きな理由の1つは、複数のERPモジュールとPower BIをすべて単一のシステムで管理できる上に、必要に応じた拡張が可能だったからです」
同社のデジタルトランスフォーメーションリーダー
課題
オーストラリアの大手食品原料販売会社は、創業以来著しい成長を遂げてきました。オーストラリア全土の食品メーカーに商品を供給する複数の支店を抱えるほか、同社は現在、アジア太平洋地域とヨーロッパの国々で顧客との取引を行っています。しかし、この驚異的な成長により、サイロ化した多種多様なシステムが原因となって、同社の日常業務に支障が出始めていました。
事業全体の利害関係者からなるチームを組んで、それぞれの課題、推進要因、運営目標を徹底的に洗い出したところ、既存のエンタープライズリソースプランニング (ERP) ソリューションでは将来の戦略的要件に対応できないことが明らかになりました。
デジタルトランスフォーメーションの必要性を認識した同社は、単一の最新かつクラウドベースのERPソリューションで同社の多様なシステムを統合できる最適なテクノロジーパートナーを市場に求めました。
ソリューション
すでにMicrosoft Power BIを使用しており、そのビジネスインテリジェンスソリューションのレポート機能に好印象を抱いていた同社は、Microsoft Dynamics 365が自社のERPソリューションのすべての条件を満たしており、自然な選択であると考えました。
同社のデジタルトランスフォーメーションリーダーは、「Microsoft Dynamicsを選択した大きな理由の1つは、複数のERPモジュールとPower BIをすべて単一のシステムで管理できる上に、必要に応じた拡張が可能だったからです」と述べています。
大規模な調査の結果、同社は、製造業向けにDynamics 365とPower BIを導入した経験が豊富なDXC Technologyをテクノロジーパートナーとして選択しました。同社は、DXCが同社の問題点を理解していることを評価しました。同社の広報担当者は、「DXCは市場で高い評価を得ており、私たちの要望に真摯に耳を傾けてくれました」と述べています。
Dynamics 365 Finance and Operationsを展開した同社は、業務の多くをDynamics 365の標準機能を中心に構築することを決定したことで、プロセスを簡素化するとともに、Microsoftによる自動アップデートなどのメリットを得られるようになりました。
同社の広報担当者は次のように述べています。「主な優先事項の1つに、社内の全員が従来の古い考え方から離れて、Dynamics 365の標準機能に沿った簡素化された新しいプロセスを取り入れる必要がありました。とはいえ、当社のビジネスモデルに合わせて軽微なカスタマイズが必要でしたが、DXCがそれを実現してくれました」
成果とメリット
グローバル規模での移行展開の半ばを過ぎた段階で、同社はDynamics 365に移行したことによる大きなメリットを達成していました。プロセスを自動化したことで時間の節約とリソースの統合が可能になるとともに、リアルタイムの正確なレポート機能に簡単にアクセスできるようになった結果、戦略的意思決定が改善されました。
「旧システムでは多くの問題が発生し、倉庫在庫がシステム上すぐに反映されなかったため、事業に高いコストが発生していました。その結果、以前は3,000~5,000ドルもの在庫評価損が発生していましたが、新しいシステムを運用して最初の2か月間ではわずか500ドルしか発生しませんでした。在庫管理の観点だけでも、すでにDynamics 365の数多くのメリットを経験しています」と広報担当者は述べています。
さらに、旧システムからのデータ取得は時間がかかる上に、手順が複雑でした。各従業員の役割に合わせてカスタマイズできる、Power BIの強力なセルフサービスのレポート機能により、ボタンをクリックするだけで重要なデータを入手できるようになりました。
広報担当者は次のように説明しています。「月曜の朝、私は数種類のレポートを取得するのに15~20分かかることがありました。今はクリックするだけで、すぐに手に入ります。以前は、発注などの小さなことでも、複数の画面を遷移する必要がありましたが、現在はすべて1つの画面上で行うことができ、しかもボタンをクリックするだけです」
Microsoftプラットフォームへの移行は、同社の財務チームにとって希望の光であり、世界中の事業全体に完全な透明性をもたらします。導入が完了すると、単一のプラットフォームから業務を包括的に把握できるようになり、最終的には手動によるデータの集計が不要になるため、財務チームは戦略的なビジネス上の意思決定に集中できるようになります。
強力で協力的なパートナーシップ
プロジェクトの開始時から、製造業向けのDynamics 365実装におけるDXCの豊富な経験と、スケーラブルなソリューションを提供するDXCの的確な支援が同社にメリットをもたらしました。
「DXCとの協働は実に素晴らしいものでした!DXCのデリバリチームは作業全体を通じて非常に頼りになり、仕事もスムーズに進みました。彼らはさまざまなシステムについて非常に詳しい知識を有しているので、私たちの作業がずっと簡単になりました」と広報担当者は語ります。
段階的なアプローチを採用してDynamics 365を事業全体に導入することで、同社は前段階の導入から得た知見に基づいて後に続く導入を改善し、グローバルな展開全体で効果を確実に向上させることができました。
広報担当者はさらに次のように付け加えます。「私たちは導入が進むにつれて成果に満足しています。私たちはそれぞれの段階から学びを得て、その学びを次の段階に適用することができました。最後のプロジェクトは初日から問題なく稼働し、即座にソリューションを使い始めました」
DXCは、MicrosoftのOne Versionプログラムの一環として、Dynamics 365の継続的な更新の展開も促進しました。「サポートチームは、業務が終了した午後6時に更新を実行します。更新完了後にはシステムはオンラインに戻るので、朝には利用を開始できます。私たちの業務に停止や問題が発生したりしたことはありませんでした」
次のステップ
同社は、イノベーションとテクノロジーを成長と進歩の推進力と考えています。同社は引き続きMicrosoftのプラットフォームを活用し、将来的には顧客関係管理 (CRM) システムや顧客ポータルの導入も予定しています。倉庫管理については、バーコードスキャンや、機械の自動化とコネクティビティの導入も検討しています。
広報担当者は「当社が未来に進むためにはテクノロジーが極めて重要だと考えています。テクノロジーなしでは私たちはおそらく過去にとらわれてしまうため、常に技術力の向上に努めています」と結んでいます。
適切な素材を組み合わせる専門家であるこの世界的な食品原料販売会社は、中核となるMicrosoftプラットフォームとDXCとのパートナーシップを組み合わせることで、同社の将来の成功と成長に向けた戦略を拡大させています。