Jemena社は、オーストラリア北部と東海岸に様々なエネルギー資産を保有・運用している企業です。時価総額で115億ドル超の大規模事業インフラを通じて、170万以上の世帯や企業に必要不可欠なサービスを日常的に供給しています。
チャレンジ
リソースの適材適所な配置調整は、資産管理や設備保全を効率よく進める上で非常に重要であり、地理的に複雑で多様に分散された事業インフラを運用する事業者が日常的に直面する課題です。数千の重要な資産を保有し、それぞれが厳しい性能ベンチマーク以上の機能を発揮できるように維持するためには、保守業務を担当するリソースの調整が重要です。リソースの調整に不備があると、コスト面ならびに企業の信用面の両方に多大な悪影響をもたらす恐れがあります。
Jemena社傘下のサービス実行組織であるZinfra社は、United Energy社が保有するビクトリア州の電力網の運用・保守契約内容について検討を開始し、従来の紙ベースでの作業指示とリソースの割り当て業務の廃止を求めていました。業務のデジタル化を推進することにより、契約に関係する全ての当事者と作業場所の包括的な管理を実現し、より効率的で柔軟性の高いリソース割り当ての実現を目指していたのです。
ソリューション
Jemena社は、DXC OxygenにSAP Multi Resource Scheduling (MRS) ソリューションの設計、計画および導入の協力を要請しました。その目的は、このソリューションを通じて、Zinfra社が保守業務や作業指示プロセスのデジタル化を推進し、リソーススケジューリングの最適化を実現することでした。
SAP Multi Resource Scheduling (MRS) は、保守ユニット間のリソースの活用と透明性の向上を可能にする、各種サービス、プラント保守、プロジェクト管理に最適なリソース管理ソリューションです。リソースの割り当てを移動時間、優先事項、資格などによって最適化し、各組織がリソース要請に効率的に対応できるようにすることで、顧客満足度の向上を推進します。
結果
SAP MRSソフトウェアを導入した結果、Jemena社とZinfra社はプランニング、スケジューリング、派遣機能の一元管理を実現しました。SAP MRS ソリューションは、各人材のスキルや資格管理プラットフォームであるWisenet、主要な人事情報を管理するSAP HR 、現場に居る保守チームの各メンバーが携帯するタブレットで作業指示を受信できるようにするmWorkOrderなどを含む、Jemena社とZinfra社の基幹業務システムに統合されました。また、確実な導入のために、総合的な変更管理計画に基づいて慎重に実装されました。
SAP MRSがmWorkOrderをはじめとする様々なシステムと統合されたことで、Jemena社とZinfra社は保有データの活用が容易になり、最適なリソース割り当てが可能となりました。
Jemena社とZinfra社は、SAP MRSシステムの出力情報に基づいて作業指示をバンドル化することで、特定の場所で実施する各種業務の生産性を最大化することができます。これにより、確実なリソースの適材適所の実現だけでなく、適切なツールを正しいタイミングで提供することも可能となり、新しいテクノロジーの導入効果を測る重要な指標である、顧客へのサービス提供の中断による悪影響を最小化することもできるのです。