Nature One Dairy社は、牧草で育てられたオーストラリア産の乳牛の生乳を加工した高品質な特製粉乳缶製品の調合と製造に特化したオーストラリアの製造業者です。国内で急成長を遂げた事業を更に発展させるために、同社は乳児用調製粉乳の需要が高いにも関わらず、手頃な価格で安全な製品を入手することが困難になっている近隣のアジア諸国に販路を広げることを決定しました。
「システムから倉庫の在庫解放を行う前に、顧客の支払い状況を即座に確認できるようになりました。システムによって在庫を確実に管理できるようになったのです」
Nick Dimopoulos Nature One Dairy社 CEO
チャレンジ
事業拡大に伴い、Nature One Dairy社は、多くの手作業が発生する伝統的な品質保証業務や、個別に運用している生産管理システムと会計処理システムに依存してきた社内プロセスを、より自動化した効率的な統合プロセスに最新化する時期に来ていると認識しました。
最も押し迫った課題は、粉乳製品に使用されている原材料を追跡するための在庫管理の手間を減らし、精度を高めることでした。主原料となる粉乳に加えて、様々なサプライヤーから調達しているビタミンやその他の原材料もあるため、従来の方法では追跡や管理業務の煩雑化が避けられませんでした。
工場内の各工程に運ばれる原材料を手作業で追跡するのは時間が掛かり、間違いも起こりがちでした。サプライヤーから原材料が倉庫に届くと、在庫管理担当者が入庫情報をまず紙に記録し、その情報を後でExcelのデータベースに打ち込んでいました。原材料を製造工程に送り、そのうちのどれが最終製品に使用されたかを照合する業務も同様に根気のいる作業でした。
ソリューション
多い時には15社のサプライヤーとの取引が発生するNature One Dairy社の社内プロセスは主に4つの業務 (原材料の管理、会計処理、生産管理、最終製品の数量確認) で構成されており、理想的なのはサプライヤーとの連絡調整と4つの主要業務の統合を可能にするソリューションでした。
Nature One Dairy社は約6カ月間、倉庫管理や会計処理システムをはじめとする様々なオプションを検討し、同社の要件を満たすソリューションとして最もふさわしいのは、SAP Business One for HANA をベースにした中小企業向けの包括的なSAPソリューションだという結論に達しました。
そして、オーストラリアとニュージーランドで活動する、同地域有数のSAPソリューションプロバイダーであり、DXC TechnologyのグローバルSAPチームの一員でもあるDXC Oxygenを、ソリューションの導入と要件に合わせたカスタマイズを実現するパートナーとして選択しました。選定の理由として決め手になったのは、DXC Oxygenのこれまでの豊富な実績でした。
DXC Oxygen は、SAP Business OneへのNature One Dairy社の倉庫管理システムの統合を支援しました。
DXC Oxygenは、Nature One Dairy社の倉庫管理プロセスの自動化に取り組みました。具体的には、原材料がサプライヤーから届くと、担当者が手持ち式スキャナーを使って入庫した原材料をスキャンし、そのデータをSAP Business One for HANAシステム内の注文書の受領欄に自動的に取り込みます。次に、担当者はSAPシステムに接続しているタブレットを使って、原材料の振り分け用の指示書を作成し、原材料を生産ラインに送るようにしました。このタブレットは、製造現場を見回りながら、製造工程の進捗情報をシステムに入力する端末としても活用されています。
「市場の成長に伴い、製品や原料の種類が増加し、管理が複雑化しています。SAPによる支援が会社の成長にとって不可欠なのです」
Nick Dimopoulos Nature One Dairy社 CEO
結果
DXC Oxygen が提供した新しいシステムは、Androidを搭載したタブレットによる生産ラインの多くのチェックポイントの情報の記録、ライブ映像の表示、SAPデータベースへの直接データ入力を可能にしました。これらの機能は、Nature One Dairy社の従業員に非常に喜ばれています。
また、この新しいSAPシステムは、もし原材料に何か問題がある可能性を検知した時には、その原材料を使って製造された製品にロックを掛け、品質保証チームが点検を済ませ、問題がないことを確認してからロックを解除するまで、倉庫の外には出ないように管理できます。更に、会計処理の面でも、事務処理や請求書の作成機能をSAPシステムに持たせたことで、DXC Oxygenは、工場から出荷される最終製品とその製品代金の受領情報を紐づけるようにシステムを構築することができました。
原材料を手作業ではなく、電子的に管理できるようになったことで、プロセスの合理化、厳格な在庫管理、製造現場の作業時間の大幅な短縮を実現しました。また、これまでは得られなかったワークフローの透明性を確立したNature One Dairy社は、原材料の発注、入庫から最終製品の完成に至るまでのリードタイムを予測できるようになりました。
上海やシンガポールなど、同社が新たに進出する海外のどの拠点からでも、生産や品質管理チームのメンバーはこの新システムにいつでもアクセスでき、先入先出に基づいて原材料の棚卸し状況を確認し、どの材料がその時点で製造に使われ、どれが手元に残っており、最終製品が何品完成したかを容易に把握できるようになっています。
同社は主要な4つの業務 (原材料の入庫と管理、会計処理、倉庫管理、製造過程の記録) を、すべて単一のシステムで集中管理できるようになったことで、以前のシステムでは不可能だった最終製品の生産状況と数量の集計データも確認できるようになりました。