Alan Webster氏は、2019年のクリスマス休暇の数日間を日本で過ごしました。帰国便は台北空港経由だったのですが、何かがおかしいと感じました。人々は体温を測定されており、中国での新型ウイルスの感染拡大に関する話も聞こえてきました。ブリスベンに戻ったWebster氏はすぐに新しいモバイル機器を注文しました。それは念のための対応でした。
「従業員にとってデータは宝です。Power BIはデータで可視性を変革し、事業で何が起きているかについて理解できるようにしてくれます。従業員は多くのデータを取得して意思決定に活用し、実際の運営にフィードバックしています」
Alan Webster 氏 Winson Group IT部門ジェネラルマネージャー
俊敏性と透明性
変化する顧客ニーズとサプライチェーンに対応するにはビジネスに俊敏性が必要であること、またWinson社の意思決定者が正確かつタイムリーなデータにアクセスできる必要があることを認識していたWebster氏は、Microsoftのクラウド環境を中心に変革計画を策定しました。
計画では、業務効率と優れた顧客サービスを実現するうえで同社に必要なインサイトを獲得できるように設計されていましたが、それと同時に、リスクを軽減するための拡張性とセキュリティも確保していました。
MicrosoftのパートナーであるDXC Technologyと協力して、Webster氏はまずDynamics 365 Customer EngagementとOffice 365を展開するとともに、その他のアプリケーションを自社のサーバーからMicrosoft Azureに移行し始めました。
Webster氏が日本での休暇から戻るころには、足場となるこれらのクラウド基盤は確立されており、他の計画を加速する準備ができていました。
パンデミックというプレッシャーもあり、わずか1週間で組織全体にTeamsを展開することもできました。
Teamsを導入したことで、勤務場所に関係なくマネージャーらは毎週のビデオ会議でスタッフと顔を合わせることができるようになり、従業員はWinson社のパンデミックへの対応や業績について常に最新情報を把握できるようになりました。
また、Webster氏はTeams電話も展開し、コンタクトセンターの担当者らを含むスタッフがいつでもどこでも接続して連絡できるようにしました。
Webster氏は次のように説明します。「3~4か月かけてTeams電話を展開して旧式のVoIPシステムを廃止したことにより、膨大なコストと固定電話をなくすことができました」
Webster氏によると、Azureに移行してTeams電話を展開することで、機能と拡張性が向上したと同時に、運用コストが10%以上抑制されました。
サポートとサービス
ラベルと印刷アプリケーションを扱うInsignia事業では、Webster氏はDynamics 365 Field Serviceを展開して、客先でインストールなどのサービスを提供する技術者をサポートしました。
Dynamics 365キューを利用して、顧客の電子メールやコンタクトセンターへの問い合わせからキューが発生したときに、フィールドサービスの技術者にアラートを送信して顧客サポートが必要であることを知らせます。Microsoft Field Serviceを利用した携帯電話アプリは、優先順位と場所に基づいてその日の作業を技術者に表示します。
これらの情報は、Insigniaのオフィスにあるサービススケジュール表にもまとめて表示されるため、技術者の現在位置がいつでもわかり、次の作業場に到着する予定時刻も明確になります。
また、Field Serviceアプリを利用することで、技術者が作業費用に関する見積もりを顧客に提示し、作業を開始する前に顧客から承認を受けることもできます。
Webster氏はさらにこのように説明します。「作業が完了した後は、統合されたシステムを介して請求書を発行し、作業に対する経理処理を現場で完了させます。以前とは、はるかにスピードが違います。
技術者によるカスタマーサービスの提供と、請求書の作成までの間には、大きな隔たりがありました」
プロセスが加速されるだけでなく、技術者がすべてをアプリに入力できるようになり、ワークフローが自動的に生成されるようになったため、技術者の1日の作業が効率化されました。
データへのアクセスが改善されたことで、在庫管理も合理化されたとWebster氏は述べています。「もし、6か月以内に作業が10件あり、部品の納期が3か月であることがわかっている場合、私たちは3か月後にサプライヤーへの部品の注文を増やすことになります」
これは、サプライチェーンが混乱したパンデミック期間中には特に重要でした。どのような部品や供給品が必要になるか、余裕をもって事前に警告されることで、Insigniaの調達チームは、通常のサプライヤーに適切なタイミングで注意を促したり、代替のサプライヤーを見つけたりして、企業や顧客にしわ寄せが行かないようにできました。
Winson社はまた、Power Appsを利用して、Insignia向けの製造現場データキャプチャシステムを構築しました。このシステムは、操業の状況について確認するきっかけを提供するだけでなく、リアルタイムで操業指標を追跡することを可能にします。このアプリは製造現場のタブレットに導入されており、Dynamics Business Centralからリアルタイムのデータが提供されるとともに、作業者が必要に応じてダウンタイムを含む作業情報を入力できるようになっています。
データは宝なり
さらに、これらのデータはすべてPower BIを通じて管理者に提供されます。Power BIは、Azureベースのデータによる分析とレポート作成にも利用され、事業全体にわたって単一の情報源へのアクセスが確保されます。
企業データを適切に保護することは同社の優先事項であり、現在同社はMicrosoft Sentinelも利用しています。
Webster氏によれば、「従業員にとってデータは宝です。Power BIは可視性を変革し、事業で何が起きているかについて理解できるようにしてくれます。従業員は多くのデータを取得して意思決定に活用し、実際の運営にフィードバックしています」
Winson社の進歩は、クラウドコンピューティングの力と、信頼できるデータの価値、最新の統合ソリューションがもたらすメリットを証明しています。