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2022年夏、DXCテクノロジー・ジャパンでは「エンジニア上流工程体験 3 daysインターンシップ」を3回開催しました。各回は3日間連続のスケジュールで、地方在住の方にもご参加いただけるようにオンラインで実施し、3回合わせて45人の学生の方に参加いただきました。

プログラムは、ITリテラシーやバックグラウンドを問わず参加できるように構成。DXCテクノロジーで実際に使われているメソッドを基にした、「ラテラルシンキング」や「デザイン思考」について体験できるワークショップが中心となっています。

担当したCTO for Japanの吉見 隆洋と人事の門脇 恵理が、本インターンシップの特徴や、参加者について印象に残っていることを振り返りました。

 

DXCテクノロジー・ジャパンに対する理解を深め、しかも、役立つ経験をしたと心に残るインターンシップを

 

――インターンシップは、どのような目的で開催したのでしょうか。

門脇:単なる「仕事体験」としてのインターンシップではなく、DXCテクノロジー・ジャパンに対する理解を深めてもらう「場」を作ることが目的でした。コロナの影響でリモート中心ということもあり、学生の皆さんとの通常のやり取りは1~2時間の会社説明とQ&Aが中心です。しかし、興味を持ってもらっている皆さんには、より深く当社を理解してもらう機会を提供したい、と常々思っていました。

そこで、2024年卒予定の学生の方向けから、一方的な形式ではなく、学生の皆さんからの率直な意見や考え方を踏まえて、皆さんと私たちの互いの理解を一層深める場を作ることにしました。

吉見:もちろん、インターンシップを通して当社に興味を持ってもらい、志望してもらいたい、という思いはあります。

とはいえ、会社紹介と宣伝に終始することはしたくありませんでした。ITサービス業界の仕事に興味を持ってもらうのはもちろんのこと、興味を経験として実現していく場として、DXCテクノロジー・ジャパンを志望して欲しい、という思いで実施しました。たとえ採用につながらなくても、DXCテクノロジー・ジャパンのインターンシップで役立つ経験をした、と心に残る内容を提供したい、という思いを強く持っていました。門脇さんにとっても、念願の取り組みだったんですよね?

門脇:私が転職活動でDXCテクノロジー・ジャパンの面接を受けた際、社長との面接があったのですが、これまでインターンシップを開催してこなかったと聞いて、社長に「やりたいです!」と直談判していたんです。入社後、開催できるかなと、不安ながらも楽しみにしていました。
※門脇は2022年にDXCテクノロジー・ジャパン中途入社

ITサービスを手掛ける企業が、インターンシップでデザイン思考を使ったワークショップをする場合、モバイルアプリを作ってみるなど、何かしらの開発業務経験を伴うものが多いようです。しかし今回は、文系・理系を問わず、また、開発経験などのITリテラシーによらず参加してもらいたい、と考えました。そこで、ITに関する知識経験が無くても参加でき、しかも仕事の本質に迫る題材を取り上げることにしました。

 

エンジニア上流工程体験
3daysインターンシップスケジュール

1日目:会社・IT業界説明、性格テストによる自己分析 & チーム交流

2日目:ラテラルシンキングワークショップ、デザイン思考ワークショップ

3日目:デザイン思考ワークショップ、総評、DXC社員との交流

 

1つの答えがない「ラテラルシンキング」で発想を飛ばす

 

――3日間のインターンシップでは、具体的にどのような活動をしたのでしょうか?

門脇:1日目は最初に会社説明を行いました。その後、実際の選考で使っている適性検査のうち性格テストの部分だけを実施し、結果に基づいて自己分析にチャレンジしてもらいました。

実は、ワークショップをより有意義に経験してもらうために、多様性を重視したチーム分けをしていました。様々な属性のメンバーがいるからこそ、自己分析結果をもとにチームで交流を深め、お互いを知ってもらったところで、1日目は終了しました。

 

――2日目からは、いよいよメインである「デザイン思考」のワークショップですね。

吉見:デザイン思考にいきなり取り組む前に、まずは、「問いを立てる」こと(課題設定)を実践して欲しいと考えていました。実ビジネスでは、答えが1つとは限らない場合、もしくは、そもそも課題自体がきちんと定義されていない場合がほとんどです。

答えがあることが確約されているものを、いかに早く上手く解くかといった「問題解決力」ではなく、そもそもの問いを立てる力、「課題設定力」とでも言う力が、極めて重要になります。「課題設定力」については教科書的に書かれている書籍はあるものの、真に鍛えるためには少しでも多くの実践が必要です。心に残る、という意味でも、この実践が役に立つのでは、と考えました。

加えて、グローバルに事業を展開するDXCテクノロジーでは、デザイン思考ワークショップを海外で提供してきており、デザイン思考ワークショップのファシリテーターを認定する制度もあります。とはいえ、日本の、しかも、学生の方向けに魂を込めたものにしたいと、DXCテクノロジーが持つデザイン思考に関する知見・経験・材料そのままではなく、今回の日本でのインターンシップ向けに、かなりアレンジしました。

門脇:いきなりデザイン思考にチャレンジすることは難しいだろう、と議論になりましたよね。走り出す前に準備運動も必要でしょう、と。そこで2日目の午前中に、ウォームアップとして「ラテラルシンキング(水平思考)」のワークショップを行いました。

吉見:よく知られている思考方法として「ロジカルシンキング」がありますが、「ラテラルシンキング」は「発想を広げる」思考方法です。

ロジカルシンキングは、「AがあるからBがあって、だからCになって…」といったように、物事を論理的に考えて特定の答えに掘り下げていく時に使われます。一方、ラテラルシンキングは、多角的な視点を持って意見を横に広げる考え方であって、答えはいくらでもあり得ます。

例えばアイスブレイクでは、「13個の栗を4人で分けるとき、あなたならどうしますか?」という質問を投げかけました。「13個目の栗を何とか4等分する」と考える方は多くいましたが、「栗を1つ捨てて、12個の栗を4人で分ける」という答えがあってもいいわけです。

 

「自分で解を見つけられる」と信じて考え続ける

 

――他にどんな話をしたのですか?

吉見:例えば、難しい課題であっても解の存在を信じること、も取り上げました。例えば、アルキメデスは風呂に入っているときに浮力を、ニュートンはリンゴが落ちるのを見て万有引力を見つけた、と言われています。しかし、彼らが発想を得た風呂やリンゴは、あくまできっかけにすぎません。解の存在を信じて考え続けることが、普段の生活で、今まで見逃していた何かを見つけることにつながります。

また、「思い込みの壁」についても取り上げました。自分の中にある常識を捨てて、いろんな発想をしてみることの大切さ、についてです。

門脇:話だけでなく、実際に色々な例題に挑戦してもらいましたが、参加してくださった皆さんは、どうしても固定観念にとらわれてしまっているところもありましたね。

吉見:そうでしたね。「思い込み」から脱却してもらうために 、そもそもの前提を疑う「クリティカルシンキング」についても、例題を出して、皆さんに考えた内容を発表してもらいました。

門脇:ロジカルシンキングやデザイン思考については、耳にしたことはあるものの、実際に使ったことがない、という方が多かったようです。一方で、ラテラルシンキングは、聞いたこともない、という方が大半でした。アンケート結果を見ても、とてもためになった、という声ばかりで、取り上げてよかったと思います。

吉見:ラテラルシンキングで準備運動をしてもらった後、いよいよ、デザイン思考を使ったワークショップに取り組んでもらいました。

 

ITバックグラウンドを問わずに、仕事の本質に迫るための例題は?

 

――デザイン思考のワークショップでは、具体的にどのようなことに取り組んだのですか?

門脇:今回のインターンシップでは、ITのバックグラウンドを問わず、仕事の本質に迫ってもらえるようにプログラムを組みました。

吉見:デザイン思考において非常に重要な「共感」を重視した例題にしました。クライアントの気持ちを理解しながらも客観的に見る「共感」という状態をぜひ体感してほしかったためです。

門脇さんと話し合った結果、例題は「あるクライアントの休日のプランづくり」にしました。

まず、チーム毎にクライアント役の社員へインタビューしてもらい、質問項目を自分たちで考えて、インタビューを通してクライアントが持つ潜在的なニーズを探してもらいます。

門脇:今回はオンラインでの実施だったので、Microsoft Teams上で画面共有しながらブレインストーミングに取り組んでもらいました。私たちは各チームを、テーブルを回るかのように時折覗いて、困っていることがないか尋ねながらワークショップを進めていきました。

 

ブレインストーミングでアイデアを練ってもらったものの…

 

吉見:デザイン思考では「問い」を作ることが大事とされています。これは、実際の仕事でも同様です。どんな課題に立ち向かうのか、が明確に定義されていないのに、解決策だけがあるわけがないのですから。参加者の皆さんには、この「問い」の立て方が、非常に難しかったようです。各チームにアドバイスをしながら、繰り返し考えてもらいました。

門脇:定義した「問い」に対して、ブレインストーミングでアイデアを出し合い休日の具体的なプランを練ってもらいました。ほぼ全てのチームが似かよったプランで…少し驚きましたね。

吉見:そうでしたね。最後は、休日のジャーニーマップを作って発表してもらいました。世の中で一般的に通じそうなプランに、無難にまとめた感じでしたね。

 

――成果の発表を終えて、どのようなフィードバックをしましたか?

門脇:各チームに、「自分のチームのプランは100点中何点か」「他のチームのプランからの気づきは何か」「もう1度チャンスがあるとしたら何をやりたいか」の3つを発表してもらったのですが…。

 

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