DXCテクノロジー・ジャパンが2022年夏に開催した「エンジニア上流工程体験 3daysインターンシップ」。デザイン思考を使ったプロジェクトを終えた学生さんたちに、それぞれのチームに点数をつけて自己評価してもらいました。上流工程で数々の経験を積んできたCTO for Japanの吉見と採用担当の門脇が下した評価とは!?
表面的な捉え方をせずに「なぜ?」と深掘りしてほしい
――デザイン思考を終えて、各チームどのような自己評価でしたか。
吉見:どのチームも70点や80点という自己評価でした。慣れないデザイン思考に挑戦して、クライアントにとって理想的な休みの過ごし方を一生懸命提案したわけですし、自分で低い点数をつけたのでは提案の質が悪かったのだとクライアントに受け取られかねませんので、気持ちはわかりました。他のグループに対する評価もしてもらいましたが、無難で好意的な評価が多かったですね。
自己評価や他チーム評価を踏まえて、クライアントが提案プランへの感想を述べるわけですが…実はほとんどのチームに「全く刺さらない内容だった」とフィードバックしたんです。
門脇:デザイン思考の本質の一つは「潜在的なニーズを探る」ことですが、そこから離れ、クライアントが言ったことを表面的に捉えている、とクライアントは感じたんです。例えば、あるインタビューに対してクライアントが「オムライスが好き」と答えたら、そのチームは「評判の良いオムライスの店を提案しよう」というところでニーズの深掘りが終わってしまっていましたね。インタビューで「なぜそう思うのですか?」とクライアントに続けて聞いていなかったことが、印象に残っています。1つの回答に対して深掘りして聞けば、検討の幅が更に広がったはずです。それに気づいてもらうためのフィードバックでした。
インターンシップに仕込んだ「仕掛け」
吉見:実は、このインターンシップは「ああ、もう1回インタビューをしたい」と思わせる仕掛けにしていました。フィードバックを聞いて初めて、もっと潜在的なところまで聞けたはずだ、聞けばよかった、と認識するわけです。クライアントのニーズを探るには、繰り返しと深掘りが欠かせません。
チームによっては、部分的には良いと思える提案もありましたが、ジャーニーマップ全体を通してみると、もっと深く考えられたのではないか、と感じる箇所が多かったですね。皆さんには、「ビジネスとしてはっきり言うなら、20点か30点だね」と正直にお伝えしました。
――クライアントに寄り添えていなかったからでしょうか。
吉見:それもあります。そもそもインタビュー結果と提案内容が矛盾している点も多々ありました。とはいえ、デザイン思考は失敗を尊びます。試行錯誤を繰り返しながら、内容を洗練していく方法です。最初から及第点を取れるのなら、その後の更なる洗練は見込めないし、そもそも実ビジネスでは、すぐに解決できるような場合など極めて稀である、ということも、理解して欲しかったのです。
…とはいうものの、正直な厳しめの評価を皆さんに伝えるかどうかは、直前まで悩んでいました。
門脇:ダメ出しによって、皆さんが後ろ向きな気持ちになってしまうのではないか、無駄なインターンシップだったと思ってしまうのではないか、と。吉見さんと何度も相談しました。
吉見:あの時は本当に悩みましたよね。正直「賭け」でもありました。
ところが、インターンシップ後のアンケート結果を、緊張しながら見ると、「もっとやりたかった」「厳しく言われて、かえって勉強になった」といった感想が大多数を占め、私たちのアプローチは間違っていなかったと安堵しました。
アンケートでは「インタビューからもう1回やり直したいです」という回答も多かったですね。まさに、私たちが意図した通りに感じてもらえました。このインターンシップを通して、正しい課題を設定することの大切さや難しさを体感してもらえた、と思います。
他社に就職したとしても、絶対に役立つ体験を提供したい
――アンケートでは、他にどのような声が寄せられましたか。
門脇:「他社のインターンシップと比べてダントツで面白く、これからも役に立つ」というコメントを見たときは、本当にうれしかったですね。インターンシップを通してDXCテクノロジー・ジャパンの仕事に興味を持ってもらえたようで、「実際の仕事内容をもっと知りたい」「もっとビジネスの深いところに触れてみたい」といったコメントもありました。
また、インターンシップを受けたほとんどの方が、当社にエントリーしたいと回答してくださったことも、開催して良かったと思えたエピソードの1つです。
吉見:今回のインターンシップでは、たとえ他社に就職されたとしても、必ず役立つ経験をしてもらえたと自負できるかなと思っています。長い目で見て「あの時のDXCテクノロジー・ジャパンのインターンシップは面白かった」と思ってもらえるとうれしいです。
門脇:今回は、私自身にとっても、デザイン思考、共感の本質を学ぶ貴重な機会になりました。前職で採用担当をしていた際、採用がうまくいかない原因と解決策を考えた経験を思い出しました。当時はいろいろな社員に話を聞いては試行錯誤を繰り返し、1年以上かけて解決にこぎつけました。振り返って考えてみると、あの時たどり着いたのは「共感」に基づいた解決策だったので、今回デザイン思考のことを知ってとても驚きました。手探りの経験が知識に昇華し、私にも学びとなったインターンシップでした。
また、「今しているアルバイトでもデザイン思考を使ってみたい」という感想を聞くこともできました。
吉見:デザイン思考は、本当にいろんな場面で役立ちます。ただし、この思考方法を習得したからといって、すぐ上流工程の仕事に携われるわけではありません。特に経験が浅いうちは、運用や開発といった仕事が中心です。
DXCテクノロジー・ジャパンで成長し、花開く人材に
――「すぐに上流工程を経験できます」と説明している会社も見かけます。
吉見:学生の方に誤解を与えかねない表現ですね。
ただ、今回のインターンシップに参加してくださった方には、上流工程が簡単な仕事ではないことを、身をもって体験してもらえたはずです。豊富な経験・知見・コミュニケーションの全てが、上流工程では求められます。経験を積んでもらうという意味でも、当社は、長い目で見て上流工程を含めた全ての工程を担える人材に育ってもらいたい、共にビジネスを大きくしていきたい、という気持ちで採用活動を行っています。新卒採用に注力している理由は、DXCテクノロジー・ジャパンの文化を理解しながら多彩なプロジェクトの中で成長し、数年かけて花開く人材になってもらいたいからです。当社は、そのための土壌を盤石なものにしてきた自負があり、もちろん、これからもしていきます。
――「ITのバックグラウンドがなくても大丈夫です」と説明する会社もありますが。
吉見:DXCテクノロジー・ジャパンでもそう考えています。
門脇:ITのバックグラウンドがないと、IT企業で働けないわけではありません。当社でも文系・理系問わず人材を募集しています。入社後は、ITに関する基礎知識を身につけられるように3か月間の研修を実施しているのですが、文系の皆さんも十分に活躍できています。
――文系・理系と大きく捉えると、新卒入社の方はどのような割合ですか。
門脇:特に採用活動で割合を決めているわけではありませんが、実績として、文系が6割ぐらい、理系2割、情報系2割ぐらいの構成ですね。文系でも統計学やデータ分析を通じてプログラミングに触れる機会が増えており、専門分野として学んできた方ばかりではありません。
吉見:私自身は、文系・理系という分け方そのものが極めてナンセンスだと思っています。文系だからプログラミングができないというのは、固定観念に過ぎません。実際、弊社で自動車業界向けの自動運転の開発をしているトップエンジニアは文系出身です。突き詰めて考えていくことのできる「やる気」が一番大事だと思います。
今年も「人生の役に立つ」インターンシップを目指して構想中
――今年(2023年)のインターンシップの開催については、どう考えていますか。
吉見:ぜひ今年もインターンシップを開催したいと思っています。2点、検討していることがあります。1つは、オンラインではなく、実際の会場での開催です。ホワイトボードを使った方が、いろんなアイディアが出るでしょうし、表情も見えた方がチームワークが良くなると思います。私たちも皆さんのサポートをしやすくなります。一方で、地方在住の学生の方が参加しにくくなってしまうので、対策を考えているところです。
もう1つは、参加してもらう皆さんに、クライアント側も体験してもらうことです。クライアントの気持ちに共感することが難しいようだったので。「こんな気持ちなのに、提案は全然違うじゃないか!」を肌身で実感してもらえれば、より気づきも増えると思います。改善したいポイントや盛り込みたいアイディアもたくさんあるため、インターンシップの内容を大きく変えることもありえますね。
――最後に、学生の皆さんへのメッセージをお願いします。
門脇:採用活動を通して学生の方たちの声を聞いていると、「成長したいです」「早くキャリアアップしたいです」など、先を見据えて動いている方がとても多い印象を受けます。また、裁量を持って働ける環境を重視する方も多いですね。
インターンシップは、説明会だけでは伝えきれない当社の社風を体感できる機会でもあります。ぜひインターンシップに応募していただき、「DXCテクノロジー・ジャパンなら成長できる」「手を挙げやすい」「意見が言いやすい」と感じてもらえるとうれしいです。
吉見:インターンシップでは、実際の上流工程で使われているノウハウを取り入れて、経験を「つまみ食い」できる内容を意識しました。実現場での経験に根ざしながら、これからの人生においても、役に立つであろう考え方や内容をお伝えしています。そして、ある考え方を実践してみる大切さだけでなく、チームワークの重要性も濃密に経験できると思います。より良い機会を皆さんに提供できるようにブラッシュアップしていきますので、今年の募集開始を楽しみにしていてください。応募をお待ちしています!